プレゼン中のビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

「キミ、この話、こないだも言ったよね??」――覚えの悪い部下には、ついついきつくあたってしまいがち。しかし、脳科学者である筆者によれば、何度話しても伝わらないのは脳にとっては当たり前。それは話す側の伝え方にこそ問題があるのだという。「コイツ……」と腹を立てる前に、話し方の工夫を意識してみてはいかがだろうか。※本稿は、西 剛志『結局、どうしたら伝わるのか?脳科学が導き出した本当に伝わるコツ』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。

何度言ってもわからない相手は
何度目でわかってくれるのか?

「何度言ったらわかるんだ!」「こないだも言ったじゃない!」

 こういう会話、言ったことがある人も、言われたことがある人も多いのではないでしょうか?私もこれまで何度も言ってきたし、言われてきました。

 ここで考えたいのは、いったい何回までなら繰り返し言ったほうがいいのか、もしくは何回以上だと繰り返し言っても、もう意味がないのか、そのあたりを検証したいと思います。

 もちろん、人それぞれなので、ここで検証することは絶対的なことではありません。研究結果から導き出した、一般的な見解です。

 脳の性質から見ると、脳は2回が最もインパクトに残り、徐々に効果が薄れて、5回以上は認知できないといわれています。「何度言ったらいいのか問題」でいうと、5回以上言うことは4回言ったのと同じことになります。

 つまり、4回言ってもわからなかったら、もうその伝え方では相手には伝わらないということなのです。

 相手にとっても、5回・6回と同じことを言われたら「もういいよ!」となってしまいかねませんよね。2回伝えてもやってくれない場合は、まず、やらないことは問題ないと伝えたうえで、「何がやらないことを引き起こしているのか?」を対話を通して探っていくのが大切です。