
近年、闇バイト問題が大きな話題となった。簡単に高収入を得られる等の言葉に踊らされ、犯罪に加担させられる若者が後を絶たないのだという。こういった問題に対し、「まともに」生きていれば、犯罪に手を染めずに済んだのではと意見がある。だが現実には、私たちの想像する「まとも」とはかけ離れた境遇の中で、生活せざるを得ない人たちがいるのだ。※本稿は、ヒオカ『人生は生い立ちが8割 見えない貧困は連鎖する』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。
闇バイトの裏には
経済的な問題がある?
近年、広域強盗事件が日本中で大きな問題となった。
この事件に限らず、いわゆる闇バイト問題と言われ、まとまったお金がもらえるアルバイトと聞いて応募し、詐欺や強盗に関わっていく若者が後を絶たないという。
アルバイトに応募したあと、犯罪に加担させられ、逃げ出そうとしても暴力や恐喝で支配され、そのまま続けさせられるという構造も指摘されている。
闇バイト問題は社会問題となっており、それに伴い、「貧困と犯罪」についても議論が活発に行われるようになった。NPO法人「POSSE」(編集部注:若者の労働・貧困問題に取り組むNPO法人。労働や生活に関する相談を無料で受け付けている)代表で、貧困問題に取り組む今野晴貴氏は「この問題には経済的な背景があることも見逃すことができない」と指摘する。
その中で非常に気になるのが、「まともに生きていれば」「真面目に生きていれば」犯罪に手を染めることはない、という言説だ。どれほど悲惨な環境でも犯罪に関わらなかった人が偉いのだ、と言う人が少なくない。