その儲かった分を、お金を出してくれた人に還元してくれるというのが、株の配当金というものです。

 そのような状況になれば株価もどんどん上がるから、それを売ると、最初に投資した人は儲かる。株式はそうしたことであって、はなから儲けるために売り買いをするわけではない、と。「株というものはみだりに売り買いしてはいけない」と、彼はこう言うのです。

 どうしてもこの会社を応援したいからお金を投資する、その結果として利益をもらうのは正しいことで資本主義の基本だ、というのが彼の教えです。「どんな会社かもろくに知らず、ただ株式のチャートだけを睨んでは、株をせわしなく売ったり買ったりして、日々あぶく銭を儲ける、などというのは、投機であって投資ではない」というのです。

 そして、20、30年後に、仮に経営者が変ったりした結果、その企業が潰れてパーになったら、それは自分の目がなかったと諦めるべき、なのだと。「もし投資した人物や会社が優れており、自分にそれを見極める目があって、結果としてお金が儲かったのであればそれはめでたいことだ」とも聞きました。

 また、株を売り買いしてあたかも自分が儲かったように人は思うけれど、その裏側では、かならず株で損をした人も存在しているわけであって、一番儲けているのは、両方から手数料を取っている証券会社なのです。

 だから、NISAなどというのは、もともとどういうところに投資しているのかも知らずに、不見転で大切な資金を他人に預けてしまうわけだから、まあ私に言わせると、結局庶民からなけなしの金を集めて中間マージンを搾取するための装置だ、というように思わずにはいられません。

「知らない人に預ける」
危険性を考えてみよう

 いわゆる金融商品みたいなものを、あれこれ、あれこれとすすめられるのは、要するに、彼ら銀行が儲けたいからです。しかし、こちらは儲けられたくないわけだから、できるだけ相手にしないことがよいと思っています。