以前は「投資信託」なんてのにお金を預けたことがありますが、どういうめぐりあわせか、元本割れということが現実になんどもありました。
そういうふうに考えると、投資というのは手許に余剰金というか、自由に処分できる、しかも使わなくてもいいお金がある場合にのみ、利益など当てにせずに考えるべきものではないかと思います。
投資は資産を持つ人しか
やってはいけない?
たとえば、今75歳の人が夫婦2人で一生なんとか食べていくのに3000万を確保したうえで、その他に1億円くらい遊休資産を持っていたとしましょうか。そうしたら、それを無利子の銀行口座で遊ばせておかないで、多少なりとも有利な投資に回すのには意味がありましょう。
しかし、私自身は、そんな余剰資産はもちろん持っていないので、証券やら為替やらの、いわゆる「投資」はいたしません。じつに単純な原理です。
自分の「一生の暮らしに関係のないお金」を元にして増やしたりしていくことはけっこうなことかと……だから、「お金持ちの人はぜひなさってください」と思うわけです。
そのかわり、これが投資の失敗で、半額に減ってしまっても、それはそれで、まあしょうがないと諦める、というようなマインドでいられるなら、おおいに結構です。
けれど、そうではない一般の人たちが「10万、20万から始められます」などと勧められて、余裕のない手許からいくばくかのお金を割いて、NISAを始めてどうしますか。
それは畢竟、少ない可処分所得を、いっそう少なくするというだけの結果で、1万2万というお金は、庶民の生活資金としては大切な金額ですが、投資の元手とするには、少な過ぎて、結果として手にする利子は、良くっても何年後かに、ビールを何本か飲んだらおしまい、という程度の金額でしかないのではなかろうかと思うのです。