食欲旺盛で肉好きな人は
なぜ長生きするのか

 60代、70代の人と会食に行くときの話です。「何か食べたいものはありますか?」と聞くと、多くの人が「なんでもいいです」と答えます。もちろん遠慮したり、気を遣ったりしてもらっている部分もあるとは思いますが、「なんでもいいです」のあとにこんな言葉がよく続きます。「最近、食べたいものが出てこないんですよね……」

 加齢と欲の関係性について書きましたが、食欲も生理的欲求のひとつなので、年齢とともに「減ってくる欲」に入ります。

 一方でスーパーエイジャーには、食欲旺盛で肉が大好きという人が多くいます

 世界一の長寿者になったことのある北川みなさん(没年115歳)は100歳になるまで農家で働き、牛肉が大好きだったそうです。同じくスーパーエイジャーの中地シゲヨさん(没年115歳)も焼き肉、唐揚げが大好き。男性では中願寺雄吉さん(没年114歳)も1日3食は欠かさず、牛肉とかしわ飯(とりの炊き込みご飯)が好物だったそうです。ほかにも肉好きのスーパーエイジャーはたくさんいます。

 そもそも、肉が好きだからスーパーエイジャーになれたのか?スーパーエイジャーだから肉が好きなままでいられるのか?どちらなのかも気になるところですよね。

 その答えは、世界中のいろいろなリサーチを総合すると、「両方ある」が正解です。

 まず、これを考える上で大切なことは、100歳を超えるスーパーエイジャーは、牛肉や乳製品などの動物性タンパク質をほとんど毎日とる人が、なんと約60%もいるという事実です。

 男性で世界最高齢歴代1位の記録(116歳)を達成した木村次郎右衛門さんは、毎朝ヨーグルトを食べていました。

 また、3位のエミリアーノ・メルカド・デル・トロさん(没年115歳)も牛乳とタラが大好物だったそうです。

 また、牛乳を飲む人はあまり飲まない人に比べて、10年後の生存率が高くなるというデータもあります。