加害者が狙いを定める
子どもの弱みとは?

シーン(5)教えてあげるよ同書より 拡大画像表示

【シーン(5) SNS 教えてあげるよ】

サッカーの指導者 お前のサッカー、けり方をもう少し変えたらうまくいくと思う

教え子 どんなふうにですか?

指導者 おれ、もともとミッドフィルダーだったからさ。

教え子 くわしく教えてほしい!

指導者 今度、お前だけに教えてあげるよ

 子どもが性被害にあう場合、子どもならではの弱みを利用されている場合が多くあると感じます。たとえば、されている行為の意味がわからないこと、自分が何か悪いことをしてしまったと思って言えないこと、だれにも言わないという言いつけをしっかりと守ってしまうこと、だれかから大切にされたいという思いをもっていること、などなどです。

 また、子どもはもともと立場が弱く、社会的に優位な立場を利用される、ということも挙げられます。

 シーン(5)では、サッカーの指導者と習っている教え子をイメージしています。このような例を挙げると、特にお子さんのいる保護者の方は不安に思われるかもしれません。こうした社会的立場を利用した性被害については、令和5年に性犯罪の規定に関する法律が改正されたこともあって、最近は取り上げられることが多くなったように感じています。このことについて説明しましょう。

 令和5年、刑法では、それまで「強制性交等罪」「強制わいせつ罪」と呼ばれていたものが、それぞれ「不同意性交等罪」「不同意わいせつ罪」という罪名に変更されました。

 その際、少しややこしい話になるのですが、性犯罪というのは自由な意思に基づいて決めることができずになされた性的行為であるけれども、これまでは処罰するか否か判断があいまいになっていた行為もあって、今後はバラつきが生じないように、きちんと処罰しようということになったのです。