ニュースな本写真はイメージです Photo:PIXTA

わいせつ目的で若者を手なづける「性的グルーミング」の加害者たちは、学校やSNSなどそこら中に罠を張る。彼らはどのように対象との信頼関係を築くのか。犯罪心理学者の櫻井氏が、具体的なシーンとともに解説する。※本稿は、櫻井鼓『「だれにも言っちゃだめだよ」に従ってしまう子どもたち たくみに手なずける「ずるい言葉」』(WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。

相談事を持ちかけられたときも
相手の気持ちは推しはかるもの

シーン(7)悩みを聞いてほしい同書より 拡大画像表示

【シーン(7) 通話 悩みを聞いてほしい】

男の子 話し相手になってくれる?

女の子 どうしたの?

男の子 親のことなんだけど……悩みを聞いてほしい

女の子 うん

男の子 やりたいことに反対ばかりで話を聞いてくれないんだ

 このような見出しにしましたが、相手の気持ちを推測することが悪いことだとは思わないでください。人から持ちかけられた相談は、深刻そうであればあるほど、腰をすえてじっくりと耳をかたむけ、今、その人がどんな気持ちでいるのか思いをめぐらせるでしょう。

 悩んでいることについて、いいかげんに流して話を聞いておけばいい、とはだれも思わないでしょう。話を聞いてあげたい、困っているのであれば助けてあげたいという親切心が出てくるのは自然なことです。ですから、シーン(7)のように、「悩みを聞いてほしい」と相手が言ってきたときには、困っているんだな、つらいんだな、と相手の感情をくみ取って、その感情に応答することでしょう。