
定期船がなくなり商業施設もできない
十三船着場は阪急十三駅から徒歩10分足らず、新大阪駅からなら車で5分ほどの好立地だ。しかし、ゴールデンウイークに船着き場を訪れると、河川敷だけが広がり、船着き場らしき建物やにぎわい施設は見当たらない。護岸はコンクリートで固められ「係船柱」と呼ばれる船とロープを結ぶ支柱はあるが、その一部は水没していた。
大阪市幹部のB氏に聞くと、こう説明した。
「事業に手を挙げた業者はありました。しかし、国際博覧会協会の桟橋の利用料金が高いことに加えて、万博の集客、動員に不安もあり、運航には至らなかった。定期船がないので、当然、十三よどがやテラスの商業施設も進めようがない」

乗客ゼロで運行するシャトルバス
万博会場へのアクセスの悪さといえば、車もそうだ。
万博会場には自家用車の乗り入れは認められておらず、夢洲には一般の来場者向けの駐車場もない。車で万博会場に行くためには、夢洲の対岸の舞洲などにある「P&R(パークアンドライド)駐車場」に車を留め、そこからシャトルバスに乗り換える必要がある。P&R駐車場は舞洲(収容9000台)、堺市(収容2000台)、兵庫県尼崎市(収容3000台)と3カ所あるが、その基本料金(バス代込み)は、舞洲が5500円、堺と尼崎が5000円だ。
ゴールデンウイーク中に万博の西ゲートにある「P&R駐車場」行きのバス乗り場を訪ねた。夕方、次々に「P&R駐車場」行きのバスが到着する。だが、乗客ゼロで発車していくバスが何台もあった。午後7時過ぎに舞洲行きのバスに乗る家族に聞くと、こうぼやいていた。
「舞洲に止めて5000円もとられて、めちゃ高い。まあ家族5人で行くから地下鉄よりは楽に行けるとそちらを選んだ。1人、2人なら絶対、地下鉄やろう。バス代込みと言ってもほんま高いわ」
ちなみに、海をはさんで万博会場を一望できる舞洲のコインパーキングでは、1日の上限料金が1200円だった。5000円台の料金が相場とかけ離れているのがよくわかる。
堺市の「P&R駐車場」を訪ねると、止まっている車はわずかだった。駐車場のスタッフによれば、
「万博へのシャトルバスにお客さんがゼロというのは珍しくない。たいていの人は『なんでこんな高いんや』と嘆いていますわ」
とのこと。暇そうで、裏口でたばこを吸っているスタッフもいた。