憧れの洋服を集めて
自分サイズにリメイク

 地元・浜松に「超林鋪」という憧れの洋服屋さんがあった。

 知る人ぞ知る的なその店は、当時高校生だった僕にとって「あの店、知ってます、行ってます、ハイハイ」みたいな優越感を抱かせる存在で、とはいえ高校生が簡単に買える値段ではなかったため、もっぱらウィンドウショッピング勢として通っていた。店員さんからしたら、面倒な学生だったと思う。

 もうすでに店はなくなってしまったのだが、ミシンを手にした今、超林鋪が出していた洋服をネットで探しては集め、自分サイズにリメイクして着られるようになった。

 青春大復活。「ファッションは循環・リバイバルする」なんていわれるが、勝手に循環、というか逆走して自己満足している。

 手の届かなかった憧れの洋服たちを再構築して着ることになるなんて、当時からしたら考えられない。

 今のところ、限られた手法でのリメイクしかできないが、もっと上達すれば世界はどんどん広がるし「染める」なんてことまで始めたら……。

「黒くてカッコよかったから」という、小学生のころにミニ四駆を買った感覚と同じ理由で購入した1万円ちょっとの家庭用ミシン。その可能性は無限に広がっている。

買いものの目的が変化
“素材”を集めに古着屋さんへ

 気がつけば、家にある洋服のほとんどをリメイクにまわしてしまったせいで、昔使ったコント衣装でさえ“素材”として利用し始めている自分がいた。

 冴えない青年役用のチェックシャツを大胆なドッキングシャツにリメイクして自己満足にひたっているときに、あれ?ここまで手を出しちゃったらまずいよな、と我に返り、素材を買い足していこうと考えるようになった。