そんな理由で、以前よりはるかに洋服屋さんへ向かうことが増えたのだが、あくまで買うのは素材としての古着だけ。そのまま着る用の洋服は買わなくなり、買いものの目的が明確に変わっていった。

 みなさんは買いものをする際、洋服を見ながらどんなことを考えるだろうか。僕の場合はこうである。

「家にあるあのハギレと合わせて……」「このベーシックなシャツを持っとけば、柄物と組み合わせたときに使えるから……」「この映画Tシャツいいじゃん!サイズは合わないかぁ、じゃあリサイズして……」「え、このシャツどう縫い合わされてんの?あ、裏はこうなってるんだ!なるほどなるほど……」「すごいリメイクのスウェットだ!ほえ~、このくらい作れるようになると楽しそうだなぁ……」

 こんな感じで古着屋さんをまわり、素材を集めては家に保管。なるべくたくさん見るために、ザッピングくらいのスピード感で店をハシゴするようになった。

 洋服が好きでもお金がなくてあまり買えなかった時代から、たくさんの洋服を見て安いものを買って自分で作る、という人生に切り替わり、経済的にも精神的にも豊かになった気がする。ミシン様、ミシン信仰万歳である。

ビンテージ化された
ファストファッションの素晴らしさ

 さらに、古着を見れば見るほど、いろんなものが出てきて驚かされる。

 国別、年代別のミリタリーだったり、ときには「ファーマーズ」というくくりで農家さんが着ていた服だったり、スウェーデンの科学者が着ていたという白衣のデッドストックだったり……。ブランドものの古着も「○○年代のアーカイブ品」というカテゴリーでビンテージ化している。