サプリメントは疲労回復効果に意味ないどころか逆効果のものも
栄養素の効果を見極める
疲労回復のために効果があると誤解されているものにビタミンCとアミノ酸があります。ビタミンCを4週間にわたり1日3000mg以上を摂取しても抗疲労効果は認められないことがわかっています。ただし、ビタミンCには強い抗酸化力があり、疲労を起こす元凶である活性酸素を攻撃しますので、一時的な除去には役立ちます。ただ、活性酸素は一時的に除去しても何分も待たないうちにまた出現します。抗酸化作用はイミダペプチドのように脳内で持続的に効果を発揮する必要があるのです。
スポーツドリンクやアミノ酸ドリンクに多く配合されている必須アミノ酸「BCAA」も疲労回復効果ありと言われていますが、実はとりすぎると疲労感が増す恐れがあります。さらに問題なのは、必須アミノ酸「トリプトファン」の働きを阻害してしまうこと。BCAAとトリプトファンは、脳に入る際、ともに血液脳関門を通過するため、BCAAを多量に摂取すれば、BCAAが優先されトリプトファンの脳への取り込みが減少します。トリプトファンは感情の安定に重要な役割を果たす神経伝達物質「セロトニン」の合成に必要不可欠なもの。疲労回復のつもりが、逆にイライラを増すという結果にもなりかねません。サプリメントより1日3食しっかりとることが必要です。
お酒は疲労回復面ではメリットなし
飲むなら適量で、睡眠前には水を
「酒は百薬の長」という言葉は、もう死語だと理解してください。「赤ワイン1杯は健康長寿」と言われていた時代もありましたが、最新の研究では1杯の飲酒も有害であることが示されています。ただ、健康面以外では、コミュニケーションに役立ったり、一時的ではあるものの気分を解放してくれるのも事実。医学的には断酒がベストですが、どうしても飲酒したい際はやはり適量にするのがベター。
アルコールの90%は肝臓で処理されますが、その代謝のプロセスで活性酸素が発生します。適量を超えれば、それだけ活性酸素が増えることになり疲労も増していきます。さらに脱水も起こりやすく、自律神経とその中枢に大きな負担をかけることになるのです。