夜、なかなか寝付けないため、寝酒をして寝るという人もいますが、それは酩酊して寝落ちしているだけ。睡眠の質は大きく低下し、脳を疲労から回復させる深い眠りである「ノンレム睡眠」の時間が短くなってしまうのです。さらに危険なのが、酔って寝るといびきをかきやすくなること。アルコールが喉や舌など気道周りの筋肉を弛緩させ、気道を狭くしてしまうのです。自律神経が休まらないばかりか、睡眠時無呼吸症候群の危険もはらんでいます。睡眠前によい飲み物とは……コップ一杯の水なのです。

「疲れたときはスタミナ食」はウソ
スタミナ食で自律神経はへとへと

「スタミナ食」と聞いてどんな料理が浮かびますか? おそらく多くの人がうなぎや焼き肉、あるいはニンニクをたっぷり使った料理をイメージすると思います。特にうなぎは「土用の丑の日」で知られるように、夏のスタミナ食の定番として親しまれています。

 確かに、戦後日本がまだ貧しかった時代、ビタミンB群が豊富なうなぎや、良質なタンパク質を多く含む焼き肉は疲労回復に効果を発揮したかもしれません。しかし、栄養豊富な食材が巷にあふれ、たやすく手に入る現代社会においては、摂取エネルギーが不足して疲労を起こすことはありません。むしろ、脂肪分が多くカロリーも高いこれらの料理は消化に時間がかかり、自律神経の負担が増えます。かえって疲れが増す恐れがあるといえるでしょう。

 一方で、健康維持のために週末に断食をしたり、1日1食にしたりするなど、食事制限をする人も増えているようです。消化器官を休ませる効果があると捉える人もいるかもしれませんが、脳にとってはよくありません。空腹の時間が長くなると交感神経が優位になり、体内に蓄えている体脂肪やグリコーゲンを分解し体のエネルギーバランスを整えようと働き続けます。その結果、自律神経のバランスは崩れ、脳疲労を招いてしまいます。