「1億円達成」はゴールじゃない! 5年で1億貯めた男が語る“本番”の始まり
昨年1月に新NISAが始まって投資ブームが巻き起こり、大ヒット投資信託のオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式オール・カントリー)やS&P500への定額積み立て投資を始めた人が多い。あれから1年半近く経ち、今度は「個別株にチャレンジしてみようかな」と思っている人も増えてきた。でも、「ちょっと不安だな…」「どうしたらいいかわからない…」と一歩踏み出せずにいる個人投資家も多い。そこで参考になるのが、お金の不安を抱えていたふつうの会社員・kenmoさん初の著書『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』(ダイヤモンド社)だ。「株で1億円貯めたら、人生は変わる?」――そう思う人も多いでしょう。ですが、実際に“億り人”となったkenmo氏は言います。「本当の勝負は、そこから始まる」。本連載の第2回では、の著者・kenmoさんが、何を考え、どんなスタンスで株式投資と向き合っているのかに一問一答形式で迫ります。注目すべきは、資産が増えても決して浮かれず、むしろ「投資家として生き残ること」に意識を集中している点。過去の成功体験に甘えず、淡々とルールを守り続ける姿からは、派手さではなく“地に足のついた投資家の哲学”が見えてきます。

資産1億円達成の心境とは?
Q:資産1億円を達成されたとき、どんな気持ちでしたか?
A:感情としては、達成感よりも「ここからが本番だな」と思ったのが正直なところです。
1億円って“数字としての区切り”ではあるけれど、別に日常が劇的に変わるわけではないですし、むしろ「この資産をどう守り、どう増やすか」のほうが難しくなるんです。特に、損失が出たときの金額が大きくなるぶん、精神的な負荷も大きくなりますから。
増やすよりも「減らさない」――リスク管理へのシフト
Q:資産が増えるほど、リスク管理の比重が高まるんですね。
A:本当にその通りで、資産が大きくなったら、やることも増えるんですよ。
「増やす」より「減らさない」に重点が移る。銘柄の分散やロット管理は特に意識しています。たとえば資産の少ないうちは、1銘柄にエントリーするロットの量はそれほど気にする必要はありませんが、資産が増えてくると、銘柄ごとの出来高に応じて入れるロットを調整しないといけません。
あとは、「全体相場が崩れたらどうするか?」という想定を常に持っておく。暴落相場を想定した“自分ルール”を作っておくことで、いざというときの対応スピードが違ってきます。
「感情に流されない」ためのマイルールとは?
Q:その「自分ルール」、どういう内容ですか?
A:暴落が発生した時に自分が過去にどういうマインドになったかを記録として残しておいて、それを元に自分自身の暴落時のルールを決めています。
自分の場合は、戦略性のないポジションから優先的に切っていき、自信のある銘柄に寄せていく。暴落が終わるまでは自分の現在のポートフォリオ内でのポジション調整にとどめ、暴落が落ち着いてから、いち早く強い銘柄についていくというルールにしています。
暴落はいつ終わるか分かりませんし、暴落後にさらなる下落トレンドに移行するのか、短期的な調整で終わるのか誰にも分かりません。あとから冷静に振り返れば「暴落のあそこで買っていれば良かった」と言えるのですが、実際に暴落に巻き込まれるとどこが底かなんて分からないのです。
それよりも過去の暴落時のリバウンドの傾向を記録として残し、暴落後に一早く上がっていく銘柄にエントリーできるよう、メンタルを整えることを最優先にしています。
資産が増えても、生活スタイルはあまり変えない
Q:資産が1億円を超えてから、生活スタイルは変わりましたか?
A:生活スタイルや生活水準はあまり変わりませんが、働き方は大きく変わりました。
資産2億円を超えてからは、会社員を辞めて中小企業診断士の資格をとりつつ、個人投資家向けIRなどを手掛ける『湘南投資勉強会』を主宰したりして、大好きな株式投資にフォーカスした人生を歩むようになりました。
私は「株と関わる仕事」が好きなので、自分のライフワークとして働き続けています。
資産があることで「やりたくないことを断れる自由」は手に入りました。たとえば、無理に残業しなくていいとか、付き合いの飲み会を断って家で決算資料を読む時間にあてられるとか。そういう小さな“選択の自由”が、精神的な豊かさにつながっている気がします。
引退ではなく“フェーズの移行”を見据える
Q:資産形成の「出口戦略」はどう考えていますか?
A:明確な“引退ライン”みたいなものは考えていません。過去に配当金やインデックス投資を中心とした「資産を減らさない運用」にシフトしようと思った時期もありましたが、思うように資産が増えないことでストレスは溜まるし、損切りが遅れて大きな含み損を抱えるしで、結局自分には合ってないと悟りました。
ある程度のリスクは、常に取り続けないと上手くいかないようです。株で稼いだお金を子どもへの教育投資に回すとか、人生の「出口戦略」はしっかりやって行きたいなとは思っていますが。
投資とは「自己対話の連続」
Q:kenmoさんにとって、投資とは何でしょう?
A:自分がどんな未来を信じるか、どんな会社を応援したいか、という姿勢が問われる営みです。
私は「自分が納得して保有できる会社しか買わない」ようにしています。勉強会や飲み会で「誰かが良いと言ってたから自分も調べてみよう」となることはよくありますが、やはり必ず自分自身で調べ、納得してから買わないと上手くいきません。
自分で判断し、自分で責任を取る。投資とは、そういう自己対話の連続なんですよね。
投資法の「再現性」を伝える活動
Q:今後のkenmoさんの目標を教えてください。
A:今の目標は、推しの水樹奈々さんと一緒に仕事をすることですね(笑)
まぁ、それは置いておいて、自分自身の資産を増やすことも大切ですが、それ以上に「株式投資の面白さを伝えること」「企業の一次情報に触れられる機会をつくること」に力を入れていきたいと思っています。
あまり講師や先生みたいなことはやりたくないですね。どちらかというと「株って面白いので一緒にやろうよ、そして僕にもおススメ銘柄教えてよ(笑)」みたいな、そんな感じで楽しくやっていきたいなと思ってます。
投資初心者へのメッセージ――焦らず、自分のスタイルを見つけて
Q:これから投資を始めようとしている人に、ひと言お願いします。
A:最初に失敗してもいい。大切なのは「退場しないこと」。勝ち続けることより、生き残ること。これができれば、いずれ結果はついてきます。
もうひとつは、「自分のスタイルを見つけること」。決算で判断する人もいれば、配当重視の人もいるし、指数連動型をコツコツ買ってる人もいます。
大事なのは、他人の正解ではなく、“自分が続けられる正解”を見つけること。最初はそれが見つからなくても、勉強しながら試行錯誤していけば、きっと「これだ」というスタイルに出会えると思います。
※本稿は『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。