もはや日本とはあまり関係ないが、中国のトップ病院なのは確か
付け加えると、こういう中国のトップ病院が購入した機器は一定期間の使用後、地方のそれほど地位も予算もない病院に転売される。それが使い古されると、またさらに条件が厳しい地方の病院に……という具合に、新品を買う余裕のない病院や医療機関で使い回される。メーカーには突然、売却先として記録のない病院から修理の依頼や備品買い付け注文が入り、シリアル番号をたどってみて初めて転売されたものだと分かるという仕組みだ。
中国の医療エコシステムはこんな厳しいヒエラルキーの上に成り立っている。
日中友好病院はそんな中国の医療機器エコシステムの頂点に立つ病院の一つながら、筆者にはすでにその名称ほど日本と関係があるとも思えず、ハナから「ただのゴシップ」だと思っていた。
それがあれよあれよと、SNSのタイムラインからニュースサイトに取り上げられ、さらには真面目な社会ニュースコラムでも論じられ始めた。いったい何が起きたのかとじっくりと目を通して、コトの次第を知った。
不倫した肖飛医師の妻が、夫が勤める病院を告発
事件が明るみになったきっかけは、くだんの医師の妻が夫が勤める日中友好病院の管理トップに向けて書いたとされる告発の手紙だった。なぜそのコピーがSNSに流れたのかはわからないが、その告発文の最初にははっきりと、「私の夫、胸部外科医師の肖飛の社会道徳と家庭倫理を深刻に踏みにじる行為について申し立てる」と書かれていた。
それによると、肖飛医師は胸部外科副主任を務める同病院内で、複数の女性職員と不倫を繰り返していた。そのうち看護師長とは何度もホテルで密会、看護師長はわずか4カ月の間に2回妊娠し、最初は流産、もう1回は中絶手術を行ったとされる。その後も肖医師の長期出張先を看護師長が訪れるなどして二人の関係は続いたという。告発状には、どこかの観光地で撮ったらしい、肖医師の胸に看護師長がピッタリと顔をつけて微笑んでいる、夫婦にしか見えない写真も添付されていた。
だが、2人がそんな関係になってから約1年後、肖医師の妻のもとに看護師長の夫から電話があった。両方の家族が2人を問い詰め、謝罪させ、その関係は終わったことになっていた。しかし、実際には妻にはその後も看護師長から嫌がらせ電話が続き、夫が関係を終わらせていないことに彼女は気づいていた。
そして、「事件」が起こった。