「適合の4段階」で
ありがちな失敗パターン例

 さて現実には、よくある思い込みやズレによって、適合の4段階の各段階でプロダクトや事業がつまずくケースが後を絶ちません。以下に、各段階でよく見られる失敗パターンを紹介します。

・CPF段階のよくある失敗:顧客の課題を深く掘り下げていない

 現場の営業担当や一部の声の大きい顧客の要望を市場の声と勘違いして、課題の裏にある行動や文脈を深く掘り下げずに表層的なニーズだけを拾い、そもそも求められていないものを作ってしまうケース。ここで重要なのは「なんとなく不便」ではなく「今すぐなんとかしたい」と思わせるレベルの課題が存在するかどうか。この段階でニーズを見誤ると、後のすべての段階にズレが波及する危険性がある。

・PSF段階のよくある失敗:解決策が社内都合で設計されている

 技術的に実現可能であることや、自社の強みが活かせることばかりを優先し、顧客から見て「これなら本当に助かる」という感覚が抜け落ちてしまう状態。「我々の技術ならこういうことができる」という出発点から作られた解決策は、ユーザーにとっては的外れになりがち。

・SPF段階のよくある失敗:使いづらい、導入しづらい製品になっている

 解決策を製品やサービスのかたちにしたときに、現場から「操作が煩雑」「初期設定が難しい」「継続的な利用が負担」といった声が上がるケース。業務に合わない画面設計、高いITリテラシーを要する高度な操作が必要なツールは、使われなくなりがち。アイデアは良くても、現実の業務との接点が弱いプロダクトは、机上の理想で終わる。

・PMF段階のよくある失敗:一部には受け入れられているが、広がらない

 特定の顧客層には刺さっているが、それが市場全体に波及する兆しがない状態。初期ユーザーの声に安心してしまい、拡張性やスケーラビリティの検証を怠ってしまうと、成長の壁に直面する。マーケットの熱量とプロダクトの価値提供が、持続的に噛み合っているかを見極める必要がある。