彼らは大きく2つのタイプに分かれるように感じる。ひとつは何事にも消極的で、悪いことは自分の責任だと思い、言葉をのみ込むようなタイプ。「どうしてそこまで自分が悪いと考えるの?あなたには関係ないし、責任はないじゃないの?」という人だ。
逆に「オレは何も悪いことはしていない。あいつが悪いんだ」とうまくいかないことはすべて他人のせいにする人。タイプは違っても根は一緒。素直なのだが、自分の気持ちを他人にうまく伝えられなくて、どこかで右か左かに道をそれてしまったのだ。
私自身は真面目だったが、会社に入ったら、女性だというだけで思うような仕事をさせてもらえなかった(編集部注/若き日の筆者は、電電公社の設備工事を請け負う大阪の企業に就職。昭和30年代は女性が現場で働くことは難しく、筆者も「早く仕事を覚えて会社に貢献したい」との志がありながら事務職にとどまらざるを得なかった)。そうこうしているうちに清文さんと結婚して、会社を経営するようになった。
だから、思うように仕事ができなかった自分と彼らを照らし合わせているところがあるのかもしれない。「あなたは男でしょう。五体満足、健康なのだからみんなが期待しているのよ」とハッパをかける。
今ならジェンダー差別で怒られるかもしれないが、それくらい言わないと自分に自信が持てない子たち。それでも「オレなんかにはできません」と尻込みする。その負け犬根性を直すまでにどれほど時間がかかることか。ほんとうに10年も20年もかかる。
それでもうちの会社にいてくれればいいのだが、誰かが辞めたら「おい、辞めるぞ」と仲間を誘って一緒に辞めていったりする人もいる。負け犬根性を取っ払って、社員にどうやってやる気を起こさせるか。これはほんとうに難しい問題であった。
あいさつを徹底することで
人間関係が円滑になっていく
世間の偏見をはね返し、社員にやる気を出してもらうために私が最初にしたこと。それは「あいさつ」の徹底だった。