入ってきた社員たちは、あいさつひとつできない。「オレ、ゴミ屋」とやけくそになっているので、他人に対しても無礼な態度を取る。お客様に対しても正しい言葉遣いができない、そもそもあいさつをしない。自分の取引先であるお客様にさえあいさつしない。そんなことが社会で通用するはずはない。

 だから「ゴミ屋はその程度の社会常識もない」と下に見られてしまうのである。そんな偏見をなくすためには、自分たちを変えていくこと。その第一歩として、しっかりあいさつができる社員に育てようと考えた。

 率先垂範、私は社員たちの顔を見るたびに「おはようございます」「お疲れさまでした」と、大きな声であいさつをする。それでも、ほとんどの社員が「フン」と顔を背けたり、露骨にイヤそうな顔をする。

「ちはっ」なんて声に出して言ってくれるのはまだいいほう。無視したり睨んだり、いくら「あいさつをしましょう」と声をかけても、いっこうにあいさつを返してくれる社員は増えない。たぶん、それまであいさつなんかしたこともなかったのだろう。それでも私は言い続ける。声をかけ続ける。それしかないのだ。

 こちらから先にあいさつをするということは、「私はあなたの存在を認めていますよ」というシグナルであり、話すきっかけのひとつなのだ。あいさつを返してくれなくても、こちらが声をかけ続ければ、その人に「自分の存在をわかってくれているんだ」という気持ちが生まれるはずである。