孫正義「登る山を決めろ」ダイエットも一緒

 覚悟を決めた私は、ダイエットをプロジェクトとして取り組むことにしました。ソフトバンクで孫正義社長の秘書を務めたのを契機に、プロジェクト・マネージャーとして官民さまざまな案件を担当してきたので、仕事で学んだ「3つの成功原則」を基に痩せようと思い立ったのです。

【3つの成功原則】
その1、ゴールを決める
その2、数値化する
その3、高速でPDCAを回す

 順に説明しましょう。まずは「ゴールを決める」から。BMIが22の標準体重になるには、私の身長だと66.6kg。ちょうどゾロ目で覚えやすいので、これを目標にしました。なお、BMIはカシオ社のサイトを使うと簡単に知ることができます。

 ゴールとして決めるべき要素には、期限もあります。できれば短期間で痩せたいですが、17.4kgの体重を減らすのに、期限3カ月にすると1カ月に6kg近く痩せなければならず、現実的ではないと判断。一方で、12カ月にすると1カ月で1.5 kg程度で済んでしまい、目標が低すぎて生活を抜本的に変える必要性を感じない…。

 孫社長の口癖で、「登る山を決めるのが大事なんだ」「目標設定が低いと現状の延長線だよ。本質改善につながらない」と嫌になるほど何度も言われたことを思い出しました。

 ということで、期限は6カ月にしました。これなら1カ月で約3kgの減量でちょうどよく、医学的にも限界値に近い数字だと分かりました。

 さて、次は「数値化する」です。数値化とは、現状とゴールを結ぶさまざまな指標(KPI)を数値で設定して、月次・週次・日次と分解して着実に実施していくことをいいます。

 ダイエットの場合、いくつか押さえるべきKPIがあります。まずは、カロリーの収支。以下のように計算しました。

◆カロリーの数値化
 17.4 kgの余分な体重は、筋肉ではなく脂肪であるとして、そのカロリーを算出。1kgは7200キロカロリーなので、17.4kgだと12万5280キロカロリー。摂取カロリーと消費カロリーの収支差が、12万5280キロカロリー出ればいいことに。6カ月だと1日当たり696キロカロリーの収支差が出ればいいと分かりました。

 この収支差を、どのように達成するか。まず、自分の基礎代謝を知る必要があります。ここでもカシオ社のサイトが便利です。年齢と身長と体重を入れると、基礎代謝が出てきます。私の場合は1765キロカロリーでした。人間は、何も運動しなくてもカロリーを消費しているのです。俄然ヤル気が出てきました。