
部下が自然と相談したくなる上司がいる一方で、「いつでも相談して」と声をかけてもなかなか心を開いてもらえない上司がいる。両者の違いはどんなところにあるのだろうか。相談しやすい上司になるためには、どのように言動に気を付ければいいのだろうか。(ワイズエフェクト代表取締役 余語まりあ)
相談しやすい上司と
相談しづらい上司の違いとは?
あなたにもかつて、自分が相談しやすい上司と、報連相の必要性は理解していてもなんだか声をかけづらい、話しづらい上司がいませんでしたか。
相談しやすい上司には情報が集まります。些細な会話も生まれるので、プロジェクトの進捗状況もわかるし、メンバーの誰かのモチベーションが下がっているなど、個人的なことまで自然と話が入ってきます。
相談しやすい上司の部下は大概のびのびしています。それは、自分の意見やアイデアを出しやすい環境が整っているからです。
有名なマズローの欲求5段階説では、生理的欲求に次ぐ第2段階が「安全の欲求」とされています。安全というと身の安全を想像しがちですが、心の安全もこれに含まれます。
例えば、自分の発言一つで厳しく非難されたり、どう喝されたりするような環境では、その人は自分の能力を成長させる以前に、委縮してしまい、話をすることに苦手意識を持ってしまうでしょう。当然、上司に情報は集まらないし、報連相も滞るし、伝えたいことも伝わりません。
「心理的に安全な環境」とはどのようなものでしょうか。ポイントは、大きく二つあります。
一つは、直接的な恐怖を感じるかどうか、もう一つは周りの人が自分に興味を持ってくれているかどうかです。前者については、先ほど述べたような厳しい叱責があるかどうかなどイメージしやすいと思います。ただ、これだけでなく後者に挙げた、自分のことに関心を持ってもらえているのか、という点も重要なのです。これは、マズローの5段階欲求の「承認欲求」にもつながっていきます。
相手に興味を持たれている、受け入れられていると感じると、自分のことを話しやすくなるものです。上司がきちんと部下を気にかけていることが伝わっている職場では、部下も安心して自分の意見を伝えたり、相談を持ちかけたりすることができます。
では、相談しづらい上司としやすい上司、実際のコミュニケーションにはどのような違いがあるのでしょうか。具体例を挙げながら見ていきましょう。