遺族厚生年金の改正案
「一律5年の有期給付になる」は誤解!
「遺族年金5年の有期給付」といったニュースの見出しを見て、「18歳未満の子どもがいても、いなくても、若くても、高齢でも、すでに遺族年金を受給していても、今後は5年間で遺族年金が打ち切りになる」と思い込んでいる人がとても多いが、その認識は間違いだ。全ての人が5年で打ち切りになるわけではないことを知っておこう。
◆正しく知っておきたい改正案のポイント1
「5年有期となるとは、60歳未満で死別した場合」
配偶者と死別したのが60歳以上なら、現行通り無期給付である。
◆正しく知っておきたい改正案のポイント2
「18歳未満の子どもがいる場合、5年有期となるのは、遺族基礎年金の受給終了時から5年後」
18歳未満の子どもがいると、残された配偶者は子どもの人数に応じた遺族基礎年金と、遺族厚生年金を受け取れる。現行制度では、子どもが高校を卒業すると(18歳になる年度末)、遺族基礎年金の受給が終わり、遺族厚生年金のみ無期で受け取れる。
「5年有期」の改正案の施行後は、遺族基礎年金の終了時から5年たつと、遺族厚生年金の受給が終わることになる。
実は、昨年7月の社会保障審議会年金部会に提出された当初案は違ったものであった。
配偶者が遺族厚生年金を受け取るのはあくまで「死別時から5年間」で、子どもが18歳になる前に5年経過していると、受給権者が配偶者から子どもに移り、子どもが18歳到達年度末まで受け取る案だった。
年金部会では委員から「高校卒業後も大学進学費用など、まだまだ養育費用がかかる」といった意見が多数出て、当初案は見直され「高校卒業から5年間の有期」、つまり子どもが23歳まで受給できる改正案となったのだ。