しかし、すぐやれない人の多くには、まず「ネゴる(交渉する)」、無理なら「断る」という発想自体がありません。次々と寄せられる頼み事を片っ端から引き受けて、元々あったタスクの優先順位を自ら乱してしまいます。その結果、自分が本来やるべきことを後回しにして後悔するのです。真面目な人ほど他人に忖度しすぎて安請け合いしてしまい、自分の首を絞めている様子をよく見ます。
もちろん、取引先や上司から急に振られた仕事をいきなり断るのは難しいでしょう。仕事ですから、急でも対応しなければならないケースはどうしてもあります。ただ、内容を確認して、仕事の進め方や締め切りについて交渉することはできるはずです。
その仕事はなぜ必要か。なぜ自分でなければならないのか。いつまでに必要か。これらを確認して、場合によっては締め切りを延ばしてもらったり、仕事の一部を別の人に代わってもらったりすることは、それほど難しくないケースが多いものです。
また、取引先や上司から「これ、急ぎでお願い!」といわれて、必死でその日のうちに終わらせたのに、「もうできたの?明日でもよかったのに」といわれたという話もよく聞きます。状況を正しく把握するためにも、頼まれ事を二つ返事で引き受けるのはおすすめできません。
他人の頼み事に応えるよりも
自分の予定を最優先に
ここまでは、「対他人」の話でしたが、ここからは「対自分」の話です。
作家の三島由紀夫は、どんなに飲み会で盛り上がっても締め切りを守るために午後10時には席を立ったといいます。ストイックになりすぎるのもよくありませんが、三島は自分に対してネゴり、「どんなに楽しくても午後10時まで」という譲れない一線を決めていたのでしょう。この考え方に学ぶところはたくさんあります。

自分にとって本当に大事なことに集中したいなら、他人に対しても自分に対しても「まずネゴる」、場合によっては「断る」、がすぐやる人の頭の使い方です。
予定を立てるときにもこの思考は有効です。
他人の予定を優先して、余ったところに自分の目標達成のための予定を入れていたのでは、いつまでたっても自分の時間ができません。カレンダーには自分の予定をまず書き込んで、その時間はブロックします。ほかの予定は空いているところにしか入れないようにしましょう。
自分で決めたことを優先して、それ以外は後回し。忖度しすぎる真面目な人、優しい人が多いので、案外それくらいの気持ちでちょうどよいかもしれません。