
人に頼み事をされた時に、つい二つ返事で引き受けてしまうという人は、要注意だ。安請け合いしてしまえば自分の時間を思うように使えず、他人に振り回されてしまうことになる。「思考の整理術」の専門家が、自らの人生の舵を取る仕事術のコツを解説する。※本稿は、鈴木進介『すぐやる人の頭の使い方 やる気に頼らず物事をシンプルにとらえる43のコツ』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
同時にあれこれ始めると
すべてが中途半端に終わる
何かを始めるとき、複数のことを同時に頑張ると挫折しやすくなります。これまで私が思考の整理をお手伝いしてきた経験からいえば、やる気のある人、モチベーションの高い人ほどそうなりやすいようです。張りきっていろいろなことに同時に手をつけ始めて続かなくなり、すべてが中途半端になってしまうのです。
仕事で必要に迫られて英語を勉強しなければならなくなった人がいました。その人は、出社前に毎日単語を10個ずつ覚えて、通勤時は電車内でTOEICのヒアリング対策。仕事帰りには英会話学校に通い、帰宅後は英作文を始めました。ところが、三日坊主どころか、2日で挫折してしまったそうです。この話だけ聞くと「いっぺんに始めるからだよ」と笑うかもしれません。けれども、これはよくあるケースです。
人は計画を立てるとき、必要な時間や労力を過少評価する傾向があります。これは「計画錯誤」という認知バイアスです。壮大な計画を立てたあとほど、気持ちが高まって、すべてを同時並行で始めてしまい、行き詰まって挫折してしまうのはこのためです。