かつて、配置を変更した社員をつぶれる寸前まで追い詰めてしまった苦い経験を持つ著書は、JALを再建した稲盛和夫の言葉を聞いて開眼したという。目標達成のために重要なリーダーによるチームの「マネジメント」とは。※本稿は、宮下律江著『目標達成できる組織のつくり方』(現代書林)の一部を抜粋・編集したものです。
目標達成に潜むマイナスイメージ
かつての私はダメダメのリーダー
目標達成をネガティブに捉えている人は少なくないと思います。つらいもの、苦しいものといった負の感情とセットになっているのでしょう。そこに、多くの組織が目標達成に苦しむ最大の理由があります。
企業は成長発展するために目標を掲げます。リーダーは目標の達成に向け、チームの指揮をとります。
チームのメンバーが目標達成にマイナスイメージを持っていると、チームの力は発揮されません。目標達成とはいかないわけです。
私はJALグループのITシステムを一手に担うJALインフォテックにSEとして新卒入社しました。地道な頑張りが次第に認められてリーダーとなったのは30代のときです。
課長職に就き、上司からトップダウンの組織運営を叩き込まれました。
当時の私の上司で、資本参加していた外資系IT企業から出向してきたSさんは、外資系企業でよく見られるような、目標数字の達成を最優先事項とするタイプの人でした。売上、利益率、品質、コストなどの数値目標を掲げ、リーダーとしてチームのメンバーに達成を強く意識させるよう指示されました。
このとき、
●目標達成=数字を追うこと
と頭に叩き込まれたのです。
私は上から下りてくる数字に追いかけられる毎日に疑問を感じつつも、そのマネジメント手法が正しいと信じ、チームのメンバーに対して数値目標へコミットするようプレッシャーをかけていました。
しかし成果は芳しくありません。信じていたやり方が通用せず、数値目標には遠く及ばない。
チームのメンバーに目標達成についてマイナスのイメージを抱かせていること、その結果、もたらされる目標未達の責任は、誰にあるでしょうか?
すべてはリーダーの責任となります。かつての私はダメダメのリーダーだったのです。
教えられた目標達成の真の意味
「稲盛氏の言葉で私は開眼した」
その後、JALの破綻に伴い、再建のために会長に就任された稲盛和夫さんと出会いました。
JALの破綻は経営と社員の意識の甘さが招いたものです。稲盛さんは再建を進める中、目標達成について次のように語っていました。