こうなってしまうと、中学受験勉強の途中で大きな壁にぶつかったときに、わが子が他責的な態度をとってしまうなんてことになりかねません。
そもそも、中学受験の学びに取り組める子どもたちは幸せだろうと思っています。
算数・国語・理科・社会の基本的な素養を幅広く学べるという機会は子どもたちにとって意義深いものでしょう。また、この世界に挑める子どもたちのご家庭は裕福な環境であることが多いですし、「たまたま」そういうご家庭に生まれた子どもたちは恵まれた存在だと思うのです。
中学受験をしたくたって、経済的なハードルがあり、あきらめなければならない子どもたちだって大勢いるに違いないのですから。
中学受験は「かわいそう」?
受験が子どもに与える刺激と魅力
よく中学受験生は世間から「大変そう」「かわいそう」と見られてしまいがちです。
わたしも約30年前、塾講師初年度のときはそのように思っていました。
「小学生の子たちが夜遅くまで塾で勉強して、重たいリュックを背負って帰宅するのは大変そうだな。小学生なら外でのびのびと遊ぶべきではないか」
当時のわたしと同じような見方をしている人はいまでもたくさんいるのでしょう。でも、中学受験の世界で指導を始めてからこういう先入観が一変したのです。
まず、塾で勉強している子どもたちの大半は楽しそうな表情をしています。新しい知識に出合えることがうれしいのですね。
また、「狭い世界」で生きる小学生にとっては、自分とは違う小学校の同級生たちは「異世界」の住人。こういう友人たちと席を並べて学べること自体が刺激的なのです。
そういえば、塾を卒業して別々の中高一貫校に通ったとしても、意外と「塾友」たちの付き合いは続くケースがよく見られます。
たとえば、男女で文化祭のチケットを交換して、互いの学校に出かけていくとか、あるいは、大学受験の相談をし合うとか…。
中高に入ってもこのようなコミュニティは案外貴重なのかもしれません。