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料理人が本当に驚くのは、派手な一皿とは限らない。自身も料亭を営む笠原将弘氏の心をつかんだのは、博多の人気店で締めに出てきた一見シンプルな塩むすびだった。だが、そのおいしさ以上に目を奪ったものがある。職人の技と美意識は、料理そのものだけでなく、その手にも表れるのだ。※本稿は、料亭「賛否両論」オーナー兼料理人の笠原将弘『うまい旅 笠原将弘のあちこち出張日記』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。
人良し、街良し、飯も良し
元気がもらえる博多の街
第2の故郷とまでは言わないが、博多は親類縁者がわりと住んでいる馴染みのある街である。母方のおじさんや祖父母も長く住んでいるし、行くたびにおじさんやいとこたちと飲みにいく。
出張なのにまるで田舎に帰った気分になる、肩肘張らなくて良い気楽な街なのだ。もつ鍋、とんこつラーメン、魚介類、鶏料理といったら水炊き・かしわめし・鶏皮の焼き鳥などなど、旨いもので溢れかえっているし、人も優しくて、モダンな街の造りも好もしい。
だから、博多出張が決まるとなんだかそわそわするのだ。そして少年の淡い恋心のように、ぽわんと馴染みの店や料理の数々が浮かんでくる。
安くて旨い「うどんウエスト」のもつ鍋やかしわめしのおにぎりセット。24時間営業の「弥太郎うどん」のビールとおでんとごぼう天うどん。2回に1回は注文をド忘れされるというカオスな居酒屋「ビック鯛はのぼる」は、炊飯ジャーからセルフでごはんをよそわなければいけない面倒臭さがあるにもかかわらず、地元の人々に愛され続けている。何を食べてもおいしい「屋台屋ぴょんきち」は、常時ハイテンションのご主人から元気がもらえる。







