中高一貫で6年を共にした友人は
かけがえのない宝物になる

 次に、中学受験の世界に挑める子どもたちは幸せなのだと思う理由をもう1つ付け加えたいと思います。

 それは中学受験勉強の延長線上に「中高一貫の6年間の生活」が待っていることです。

 中学受験は確かに大変な側面が多々あるでしょう。しかしながら、それを乗り越えれば「高校受験」に追われることはなく、多感な時期に自分のやりたいにことを中心にして過ごすことができます(もちろん、コツコツとした日々の学習は必要ですが)。

 そして、同じ学び舎で6年間、時をともにした友人たちは生涯の付き合いになることがよくあるのですね。こういうかけがえのない「宝物」を手に入れやすい環境にあるのも中高一貫校の魅力です。

 わたしは小学校6年生から決まって夏休み明けのタイミングで次のような相談や不安を打ち明けられることがあります。

「夏期講習会、あれだけ頑張ったのに、模擬試験でなかなか結果が出ない…。ぼくのやり方が間違えていたのですか?」

「志望校の過去問に取り組み始めたけれど、なかなか結果が出ません。わたし、バカなのかなあって……へこんでいます」

 中学受験生にとって最も集中して勉強する時期は「小学校6年生の夏期講習会」です。これは間違いありません。

「小学校6年生の夏期講習会」で
厳しい現実が待っている

 わたしの塾の夏期講習会の小学校6年生は1日7時間授業であり、子どもたちは朝早くから自習室にやってきて、主として前日の学習内容の復習をおこなったり、毎日の確認テストに向けた勉強に励んだりしています。

 子どもたちのやる気、元気、そして、その前向きさには毎年感心させられます。

 そういう「勉強漬け」の日々を送ったからこそ、夏休み明けには「確かな成果」が現れるはずだと子どもたちは自身に期待しているのでしょう。

 ここでちょっと残酷…いや、現実的な話をします。

 子どもたちが模擬試験の数値的結果の中でいちばん気にするのは「偏差値」です(保護者もきっと同じでしょう)。でも、偏差値というのはあくまでも相対評価であり、絶対評価ではないのです。

 みんなが頑張っているのと同程度に頑張っているのであれば、その偏差値は以前と変わりません。換言すれば、夏休み前と夏休み明けで偏差値がほとんど同じだった…これは受験生として十分に頑張ったという証拠になるのです。

 小学校6年生の夏期講習会で頑張らない子どもたちなどほとんどいません。どの塾に通っている受験生だって朝から夜まで受験勉強に専心しているでしょう。