鎌田 荻原さんは「犬の散歩が楽しい」っておっしゃっていましたが、朝に太陽の光をたっぷり浴びているせいで、セロトニンもたっぷりつくられているのだと思いますよ。

荻原 そうなんですね!実は私、30年ほど前に軽いうつ状態になったことがあるんです。夜に眠れなくなってしまって「このままじゃダメだ」と思って、犬を飼い始めたんです。そうしたら眠れるようになりました。これって、毎朝犬と散歩しているからですよね?

鎌田 そうですね。セロトニンというホルモンは、夜になるとメラトニンという睡眠ホルモンに変化するんです。朝に太陽の光をしっかり浴びてセロトニンがつくられると、夜にぐっすり眠れるんです。

荻原 やっぱりそうか。腑に落ちました。

鎌田 ほかにもセロトニンをつくる方法として、リズミカルな運動もあります。ウォーキングや軽いジョギングなども効果的。セロトニンは腸でつくられるので、腸内環境を整えるために発酵食品や食物繊維をとることも大切です。そうそう、セロトニンのもとになる「トリプトファン」という栄養素は、豆腐、みそ、納豆、チーズ、牛乳、卵、バナナなどに含まれているので、これもできるだけ食べたほうがいいですね。

荻原 これをとれば「幸せ」にも役立つということですね。

良質な睡眠がもたらす
ホルモンのメリット

荻原 ところで先生は、夜、何時間寝ていらっしゃるんですか?

鎌田 ぼくは6時間から7時間。

荻原 割としっかり眠っていますね。私も犬を飼ってから眠れるようになったんですが、夜中に必ず一度は目が覚めるんです。

鎌田 ぼくも夜中にトイレには行くけれど、1回なら問題ないと思っています。2回以上起きる場合には、泌尿器科に相談したほうがいいかもしれないね。ちょっとした物音で起きてしまうのは、睡眠が浅くなっているせいですね。若い頃みたいに深く眠るなんて、なかなかぜいたくなことになっていると思います。

荻原 そうなんですね。高齢でも早寝早起きがいいのでしょうか。