
7年前に医薬品事業に新規参入した太陽ホールディングスが、アクティビスト(物言う株主)の批判に晒されている。香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントは5月7日、約11%の株式を保有する太陽HDに対して株主提案をしたことを発表。6月21日に開催される太陽HDの株主総会で、佐藤英志社長と高野聖史取締役の再選に反対し、解任を要請した。佐藤社長が主導してきた医薬品事業を「失敗」と断じ、責任をとって辞めるよう迫っている。
高くついた「入場券」
太陽HDは1953年に「太陽インキ製造」の社名で印刷用インキを祖業として設立。現在はエレクトロニクス業界向けの化学品の製造販売を主な事業とし、電子基板に用いるソルダーレジストでは世界トップクラスのシェアを誇る。プリント基板や半導体の部材製造で培った精密・高度な製造経験を医薬品製造にも活用しようとの目論見で、18年に中外製薬から特許期間が切れて後発品が上市された医薬品、いわゆる「長期収載品」を譲り受ける形で参入した。
中外製薬から抗菌剤「バクトラミン」など13製品を約213億円で取得。その後、日本ベーリンガーインゲルハイムから不整脈治療剤「メキシチール」を、アストラゼネカから胃酸抑制剤「オメプラゾール」など4製品を獲得し、今では20製品程度を扱う。エレクトロニクス事業に次ぐ「第2の柱」と位置づけ、将来的に売上高500億円規模、営業利益率2割をめざす計画を掲げていた。
ただ、そもそも長期収載品を新薬企業が手放したのは将来性がないからにほかならない。政府が後発品の使用促進策を推進するなかで、長期収載品は後発品にシェアを奪われる立場にある。新薬企業にとっては安定供給の責任がある一方、薬価引き下げで利益が目減りする「お荷物」だった。