1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!? 「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング#1

日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、今回は化学業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#1では、化学業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで75人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

「経営混乱させた」のに従業員の90倍!
化学業界で従業員の何十倍ももらっている幹部は?

 経営者と従業員の年収の格差が90倍。しかも、その経営者は「経営の混乱で従業員と経営の乖離が生じた」と評価されている人物……。従業員は、その事実をどんな気持ちで受け止めているのだろうか。

 ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。

 また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは化学業界だ。

 化学業界での「年収1億円以上」の経営幹部で、従業員の年収との格差が1位となったのは三菱ケミカルグループのジョンマーク・ギルソン社長だった。受け取っていたのはおよそ9億円で従業員の平均年収973万円の92.99倍の水準だった。

 実は、同氏の経営手腕は『三菱ケミカルが「化学回帰」で規模拡大路線と決別!?社内序列激変で「稼ぎ頭」の製薬と産業ガスの行く末は』でも論じたように、「経営の混乱で従業員と経営の乖離が生じた」と総括されている。実際、集計時のPBRとROEは今回のランキングの業界平均を下回っている。

 また、現在、苦境に陥る資生堂で長くトップを務め「プロ経営者」と評される魚谷 雅彦氏は2024年12月末に会長CEOを退任しているが、およそ3億円を受け取っている。そして、従業員年収との格差倍率でも上位にランクインしている。

 三菱ケミカルグループ、日本ペイントホールディングス(HD)、ノエビアホールディングス(HD)、アース製薬、ユニ・チャーム、小林製薬、コーセー、上村工業、日本酸素ホールディングス、資生堂、日東電工、エフピコ、大伸化学、太陽ホールディングス、富士フイルムホールディングス(HD)、信越化学工業、レックといった企業の幹部たちの年収は幾らで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。