
【台北】台湾は、中国の影響力に対する戦いがエスカレートする中で、公務員から中国の支持者を一掃する任務に着手した。何十万人もの労働者の身元調査を行い、中国の身分証明書などを持っていると判明した者の市民権を取り消すと宣言している。
頼清徳総統が台湾における中国の浸透工作と呼ぶものに対抗するキャンペーンを開始してから初めて、台湾当局は先週、中国の国籍の一歩手前に当たる永住資格を取得した教員に対し、措置を講じると明らかにした。
頼総統は、台湾の自治維持を政治スローガンにしており、起こり得る中国の侵攻を撃退するための軍備増強を進めるとともに、住民に対して中国に対する警戒を強めるよう求めている。中国は台湾を自国領土の一部と見なしている。
3月に頼氏が演説で中国を「境外敵対勢力」と呼んだことを受け、当局は軍人に対し、中国の市民権を示す中国の身分証など、中国本土と彼らを結び付ける文書を所持しているかどうかを申告するよう求め始めた。先週には台湾政府のトップの複数部局が、新たに職員の身元調査に着手した。
身元調査の実施は、武力攻撃に至らない 「グレーゾーン」の手法で圧力を加える中国の作戦 に対応したものだ。この作戦は、中国に支配権を譲る方が暮らし向きが良くなると台湾住民に確信させるのが狙いで、ソーシャルメディアのメッセージ送信から、ほぼ毎日の軍事力誇示まで多岐にわたる。
頼氏は、台湾の軍関係者、元政府当局者、元高官が関与するスパイ行為とみられるケースが相次いで発覚したことを受け、中国によるスパイ行為および影響力行使とみられるものと戦う取り組みを強化した。
中国のシンパである疑いがある人の追跡は、頼氏と同氏が率いる与党の政治的傾向を示している。これは、中国との関係強化を支持する野党と対照的だ。