気が付けば近所や職場に中国人がいることが珍しくない日本社会。中国人の考え方を知る上で、知らなければならないキーワードが「同化」である。モンゴルに生まれて中国で学び、日本に帰化した著者が述べる、「日中文化の本質的な違い」とは? ※本稿は、楊海英著『中国を見破る』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです。
町中華から“ガチ中華”へ
数年前から“ガチ中華”が増えたという話を聞くようになった。いわゆる「町中華」が日本人の舌に合わせた中華料理であるのに対して、“ガチ中華”は中国人が好む本場の料理を食べられる店のことをいうそうだ。
ブームの火付け役となったのは東京・池袋にある中華店だといわれる。池袋といえば豊島区の大繁華街で、日本を代表するターミナル駅がある。その豊島区に居住する外国人の国籍は中国人がおよそ半数にも上っているという。
東京全体を見ても、2024年1月時点の都内在住外国人約65万人のうち約40%が中国人(都総務局人口統計部データ)であり、26万人近い中国人が都内に住んでいることになる。これだけ多くの中国人がいれば、昔ながらの町中華ではなく、中華圏の人々が好む味の中華料理店が東京で増えるのは当然かもしれない。
いうまでもなく、日本には、古くから多くの中国人が移住してきた。華僑と呼ばれた従来の移住者は、横浜、神戸、長崎といった各都市でチャイナタウンを形成している。つまり中国のローカルルールはチャイナタウンのなかに限定して、地元の日本人とは良好な関係を築くことで共存共栄を望んできたように思う(日本が好きになって、私のように、日本に帰化する人も多数いたにちがいない!)。