台湾人たちには侵略者と
戦う意思はあるのか
村野 では、台湾を巡る戦争の場合はどうか。いわゆる「ショート・シャープ・ウォー」と呼ばれる短期決戦よりも、長期戦のほうが我々にとって有利との見方がありますが、これにはいくつかの前提条件があります。
1つは中国に対して抵抗を続けるという台湾の政治的意思が折れないこと。もう1つは、彼らが軍事的に戦い続けられることです。後者については、有事の際に台湾に対する軍事的な補給を日米がどれだけ続けられるかという問題があります。

ベックリー 台湾の政治的意思をどう評価するかは非常に難しいところです。世論調査では、いくつも対照的な結果が出ています。多くの台湾人が戦うことを熱望しているようには思えないし、自分たちに勝てる見込みがあると思っているようにも見えない。
しかし、戦前の世論調査の多くは、一度戦争が始まれば吹き飛んでしまうものであることも事実です。自分が兵士になるなど考えたこともなかった人びとが、侵略者や封鎖に抵抗する意思を固めるようになる事例は過去にたくさんあります。
それに、中国が沖縄の米軍基地を攻撃して戦争を始めれば、多くの米国人は中国に対して間違いなく厳しい対応を求めるでしょう。政治的意思は見極めるのが難しいですが、歴史的な経緯を踏まえると、開戦後数ヵ月の台湾の継戦意思がどうなるかが重要になるでしょう。これについて私は、慎重ではありますが楽観視しています。
マイケル・ベックリー
米タフツ大学准教授
1982年生まれ。近年、米外交専門誌などで「中国の台頭の終わり」を論じ、衰退時の危険性を指摘。曽祖父母が日本出身。アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所客員研究員も務める。著書に『デンジャー・ゾーン』(共著、飛鳥新社)。
米タフツ大学准教授
1982年生まれ。近年、米外交専門誌などで「中国の台頭の終わり」を論じ、衰退時の危険性を指摘。曽祖父母が日本出身。アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所客員研究員も務める。著書に『デンジャー・ゾーン』(共著、飛鳥新社)。