生理的口臭に必要なのは
「舌ブラシ」だった!

 ただし、歯ブラシだけでは生理的口臭の対策にはなりません。生理的口臭は、舌の表面から発生する「発揮性硫黄化合物」が原因です。舌の表面には突起(乳頭)があり、ザラザラしています。このザラザラに粘膜の垢や細菌がたまり、細菌の中の口臭菌が出す物質がゆで卵臭の原因になります。

 なので、生理的口臭は舌表面の汚れを落とすと消えます。鏡の前で自分の舌を「べー」と前に出して、舌表面の色を見てみましょう。ふちの色と同じように全体が赤くなっているのが本来の舌の色ですが、汚れていると中央部が白みががっています。汚れがひどいと喉に向かうほど白みは濃くなり、さらに汚れている場合は灰色になっています。

 この汚れが生理的口臭の原因です。舌の清掃には「舌ブラシ」を使用しましょう。歯ブラシを使う人もいますが、歯ブラシは硬い歯をキレイにするように設計されているので、柔らかい舌用の舌ブラシを使ってください。

 舌ブラシの使い方は、舌表面を喉の方から先端に向かって一方向に軽くこすればOK。逆方向にこすると舌表面の細菌を飲み込むことになりますのでご注意を。また、強くこすると舌を傷つけるので、優しく4~5回程度こすりましょう。一度に全て汚れを取れなくても、毎日続けることで舌はキレイになります。

 ちなみに、筆者が使っている舌ブラシは「エビス ふんわりタッチな舌ブラシ」と「エビス グランツ舌クリーナー」です。舌ブラシの初心者は毛先が柔らかい前者を使うと良いでしょう。「オエッ」となる人は、舌を清掃する時に「あー」と声を出しながら行うと、比較的ラクにできます。

歯周病はセルフケアでは治せない!
すぐに歯医者さんへ行こう

 口臭が腐った生ゴミの臭いがする人(病的口臭)は、歯周病です。詳しくいうと原因は「メチルメルカプタン」で、日本の法律では「毒物」に指定される取扱注意の物質です。その毒性は「青酸ガス」に匹敵するほど。

 歯周病菌は、歯ぐきの神経を麻痺させて歯がぐらついても痛みを感じさせない「最恐の菌」です。また、その毒性は鼻の嗅覚をも麻痺させるので、病的口臭を自覚することが難しくなるのです。さらに歯周病は、脳梗塞、認知症、心筋梗塞など数多くの病気の発症・助長に影響を与えます。しかも歯周病はセルフケアでは治すことができません。

 まとめると、自分では治せない歯周病は、青酸ガスに匹敵する有害物質を出して、全身の健康を悪化させます。歯周病がどれほど恐ろしいか、分かってもらえたでしょうか? 口から腐った生ゴミの臭いがしたら、すぐに歯科医院で治療を受けてください。