ここまで聞くと、「歯磨きは歯周病に無力では?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。プロのケアとセルフケアの両方しないと、歯周病は治療できません。だからセルフケアにも十分に配慮してほしいのです。

 オススメの歯ブラシは「ルシェロP-10S(GC)」です。この歯ブラシは毛先が尖った「テーパード型」なので歯ぐきとの境目や、歯と歯の間までしっかりと磨けます。歯周病対策にぴったりです。

 ただし、注意点もあります。毛先が尖っているが故に、毛先がデリケートですぐに折れるのです。毛先が折れた歯ブラシを使用すると、清掃効率が30%落ちてしまい歯周病対策になりません。ですから、2週間ごとに歯ブラシを交換する必要があります。ちなみに筆者は毎月1日に同じ歯ブラシを2本新調し、交互に使って1カ月で交換しています。こうして仕組み化して慣れると苦になりません。

「歯を白くする歯磨き粉」の大きな誤解
1000円超の商品は効能に疑問

 最近、ドラッグストアで歯磨き粉コーナーを見てみて、思ったことがあります。「安かろう悪かろう」の商品と、「値段が高いのに効果が低そう…」な商品が少なくないなと。1000円を超える商品は、謳っている効能に疑問がありました。つまりコスパが良く安心して購入できるのは、500円~800円程度のものだと言えるでしょう。

 特に、「歯を白くする歯磨き粉」では、「ホワイトニング効果」や「ホワイトニング成分」に注意してください。歯磨き粉のホワイトニング効果とは、歯の汚れを落として元の歯の色に戻すことを指し、歯の色そのものを白くすることはできません。

 歯の元の色を白くできるのは、歯科医院で行っているホワイトニング治療だけです。しかし店頭には、歯の元の色が白くなったかのようなビフォー・アフターの写真付きで、商品説明がなされています。これは誤解しがちなので注意してください。

 また、ホワイトニング成分として「リン酸カルシウム」や「酸化アルミニウム」「無水ケイ酸」が配合された歯磨き粉は避けたほうが無難です。これらの研磨剤は、確かに歯の汚れを落とすのですが、長年の使用で歯の表面が傷つき、逆に汚れが付きやすくなります。

 一方、「ピロリン酸ナトリウム」や「ポリリン酸ナトリウム」は科学的に歯の着色を落とし、歯を傷つける心配がありません(配合された歯磨き粉でおすすめはライオンの「ブリリアントモア」など)。

 今回は、口臭やむし歯、歯周病やホワイトニングに効果的でコスパのいい歯ブラシや歯磨き粉について解説しました。CMや販売の謳い文句、信憑性に乏しい写真に惑わされないように注意しましょう。