「釣り合っているか」
を気にする女性たち

 ホストクラブの客は使う金額が少ないと「細客」、多いと「太客」と呼ばれるが、ホストの売上によって左右されるため、具体的な金額の基準はない。

 とどのつまり、ホストの売上に対して自分が使っている金額の比率と、その比率に対してどの程度良い対応を受けられているかという金額と還元の「釣り合い」だ。

 使っている金額以上の行動をホストに求めると、立場をわきまえない「痛客」と見なされる。金額を払えていない自覚がある客ほど、自分が使う金額的にホストにどのくらいの対応を求めてもいいのかを気にする傾向にある。

「シャンパンを入れたらアフターに誘ってみてもいいのかな?」「1日に1通LINEを求めるのは痛い?」とSNSにつぶやき、同じホス狂いに客観的に判断してもらおうとする。

 女性たちは皆、「わきまえた消費者」という体裁を守ったうえで、担当ホストから特別扱いを受けたいのだ。

 性的資本を投入して稼いでいる女性たちは固定給ではなく出来高制であるため、稼ぎに波がある。そのためホス狂いは、ホストクラブで1カ月に使う金額「月アベ」、1日に使う金額「日アベ」を上げるための努力を惜しまない。夜の仕事の出勤時間を増やす、自己投資を深める、より過激な仕事に就く……。

 そうして実際に大金を稼げているときはいいが、うまくいかないときもある。そんなときは、「担当に貢ぐためにどれだけ自己犠牲をしたか」という努力を認めてほしいのだ。

 金銭的な目標値は成し遂げられなくても、「俺のためにここまでしてくれてありがとう」「頑張ってくれてありがとう」と、目標にたどり着くまでのプロセスを評価してもらうことで、「ホストのために頑張れている自分」という承認は満たされる。

ホスト側から女性に
売春を勧めるケースも

 自らの性的資本を投入し、ホストのために稼ぐ女性がいる一方で、ホスト側から売春を勧められてノルマを課せられるケースも少なくない。

 2024年11月11日には、女性客に売春目的の「立ちんぼ」をさせようとした疑いで、歌舞伎町の自称取締役のホストが逮捕された。

「稼ぎが少ないと会えないよ」「最低でも10万」「他の子は稼いでいるから挽回しよう」といったメッセージを女性客に送っていたという(注)。

 大久保公園でちゃんと立って「仕事」をしているか、自撮りをさせていたとも見られている。

(注) 『時事通信』2024年11月13日