まず最初の4年間。麻生内閣が倒れ、民主党政権が誕生した期間の実質経済成長率は年率で▲0.1%でした。ここはリーマンショックに加えて福島原発がメルトダウンして計画停電が実施されたような時期でしたから、結果としてマイナス成長になったのも不思議ではないですね。

 ところが、そこから日本経済が反転するのが2013年から17年にかけての5年間。これが日銀の異次元緩和にともなうアベノミクスの成功期なのですが、この5年間の年平均成長率は年率でなんと1.3%となかなかの数字をはじき出しているのです。

 一方でアベノミクスのご利益は5年で行き詰まります。第4次安倍内閣が誕生し、菅内閣、岸田内閣、そして石破内閣へとつながるその後の7年間の日本経済の経済成長率は年率平均で0.2%へと落ち込みます。消費税が10%に上がり、食品を中心にインフレが加速して、日本政府の借金である国債の発行残高が1000兆円まで膨れ上がった時代です。

 そのようにこれまでの16年間を振り返ったとして、自民党はいったいどうやってこれからの16年間で、アベノミクス級の経済成長を継続的に実現しようと言うのでしょうか?公約は守れるのでしょうか?

 ちょっとだけ話が脱線しますが、SNS上では石破首相が国会で「当選したからといって公約をその通りに実行するもんではない」と発言したというニュースをよく見かけます。本当にそんなことを言ったのかと思って調べてみると、発言を切り取ったフェイクだということがわかりました。

 石破首相が発言したことは、総裁選で公約した石破首相の公約だからといって自民党が「すべて我が党はこれでやる」ということにはならないということでした。総裁選には9人の候補が出ていて、それぞれ違う政策を主張していました。自民党という党はそういう議論を取り上げる仕組みがある党なのだという意味の発言でした。

 一方で同じロジックで受け取れば、総裁選でイチ候補の立場で掲げた政策と、参院選で自民党の公約として掲げる政策は重みがまったく違います。党の公約ですから選挙後にはその政策を党として守る必要があります。