人間だと拾えなかった広範囲の情報をAIに学習させることもしています。自国の何が弱いか、他方で他国の何が弱点かを分析できる。国レベルともなると、そんな取り組みが起きています。
――詐欺電話は、ミャンマーとかにいる「かけ子」が鳴らしてきます。早晩、それもAIになるのでしょうか?
もう、AIになりつつあります。企業の営業促進用ツールとして、AIでテレアポをさせるサービスが出てきています。言ってしまえば、営業電話も詐欺電話もやることは同じです。なので、実用寸前か実用化されていると考えるべきでしょう。
例えば、息子や孫の声を学習したAIが詐欺電話を祖父母にかけてくる。その真偽を祖父母が見抜くのは無理です。だとすると、AIによる防御策を打つしかないのです。
弊社のパートナー会社が持っている技術の一つに、家族の声をAIに学習させ、家族以外の騙そうとしている人を判別するというものがあります。ただし、日本国内でこうしたAIを動かすためのチップを搭載できる高級固定電話がほぼ作られていないため、普及させる見込みが立ちません。スマホだとアプリを入れればいいのですが、高齢者にどうDLしてもらうかが課題となります。
米国100なら日本は1
日本のサイバー防衛力が段違いで低いワケ
――固定電話だけでなく、過去30年で国内産業の空洞化が進んだとされています。
サイバー犯罪の直接の入口になるのは、SNSやメール、
悲しい現実として、これらのほぼすべてを日本は外国のサービス・製品に頼っています。日本が自国で制御できるのは一部のパーツと通信だけですが、それにも「通信の自由」の壁があります。
この点、国民が幸せかどうかは別問題として、中国は上から下まで全部の産業を抱えているから制御できています。
AIを使ったサイバー犯罪に対応しようとしても、日本に産業基盤がないと対処が難しくなります。