糖尿病になりにくくなる運動のコツ、家事や散歩も効く?【専門家が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

日本人の6人に1人が罹患(りかん)しているとも言われる2型糖尿病。糖質や脂質を多く含む食習慣が主な原因だが、それだけではなく「運動不足」も糖尿病を招く大きなファクターとなっている。糖尿病予防効果を得るためには、どんな運動習慣を取り入れたらいいのだろうか。スポーツ科学の専門家が解説する。※本稿は、樋口 満『健康寿命と身体の科学 老化を防ぐ、50歳からの「運動・食事・習慣」』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

日本で糖尿病患者が
増え続ける要因

 2型糖尿病は生活習慣病といわれている代謝性疾患で、過食や運動不足などのライフスタイルがその発症に強く影響します。

 日本の糖尿病の患者数は、糖尿病を引き起こしやすいライフスタイルの広がりと、平均寿命の延伸による高齢者の増加が相まって、増加の一途となっています。

 そのしくみは、次のようなものです。食事などで摂取した糖質(炭水化物)が、体内で処理しきれずに血液中に高濃度で残ってしまい、持続的な高血糖状態となることによって、その余分な糖(ブドウ糖)がさまざまな細胞、とくに末梢(まっしょう)組織の毛細血管にダメージを与えるのです。

 血糖値は空腹時にはやや低下していますが、糖質(炭水化物)を含む食事や飲料を摂取すると、次第にその値は上昇していきます。それは、摂取した糖質が小腸で消化・吸収され、門脈を経由して、肝臓から血液中に放出されるからです。そして、しばらくすると血糖値は低下していきます。

 それでは、血糖はどこに行って、どう処理されているのでしょうか。