血糖の80%程度が
「筋肉」で処理される

 図4-16は、健常者と2型糖尿病患者の身体の各組織における血糖取り込み能力を示しています。

図表1:健常者と2型糖尿病患者の各組織における血糖取り込み能力同書より転載
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 よく知られているように、脳は通常では、血糖(ブドウ糖)をエネルギー源として、その機能を維持していますので、健常者でも2型糖尿病患者でも、脳は同じように血糖を取り込んでいます。

 また、内臓や脂肪組織でも、糖取り込み量に健常者と2型糖尿病患者のあいだに差は認められませんでした。

 大きな違いがあるのは「筋肉」です。筋肉は体内の最大の糖処理器官で、健常者では、血糖の80%程度が筋肉に取り込まれて処理されていますが、2型糖尿病患者では、それが健常者の半分程度にまで低下しているのです。

 筋肉細胞内で糖取り込みに重要な役割を担っている調節たんぱく質が「糖輸送体(GLUT4)」です。GLUT4は筋肉や脂肪組織に特異的に発現しており、インスリン刺激と筋収縮刺激では異なるメカニズムによって血糖を取り込んでいることが、ラットの骨格筋を用いて解明されています。

 図4-17は、筋肉がインスリン刺激や筋収縮(運動)により血糖を取り込むメカニズムを模式的に示しています。

図表2:骨格筋における血糖取り込みのしくみ同書より転載
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 筋細胞内にはGLUT4がプールされており、それぞれの刺激によって、GLUT4が細胞膜上に移行(トランスロケーション)して、血糖が筋肉内に取り込まれます。