
6月13日、年金関連法案が参議院で可決、成立した。さまざまな制度改正が盛り込まれているが、今回は手取りや将来の年金額、老後資金に影響を及ぼす重要な3つの改正について取り上げる。正しくポイントを押さえて、有効活用してほしい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
年金関連法案が成立
手取りに影響するポイントは?
6月13日、改正案が盛りだくさんの年金関連法案が参議院本会議で可決・成立した。前回の本コラムでは「遺族年金制度の改正」の誤解しがちな点と、目立たないけれど私たちにとって良い改正点について解説した。
今回は、「高年収の人の厚生年金保険料引き上げ」「年金を受け取りながら働いた場合の年金カットの見直し」「iDeCoの加入年齢が70歳まで引き上げ」の3点の制度改正を取り上げる。
この3つは「給与の手取り」「将来の年金額」「退職金や老後資金の運用」に影響を及ぼすので、改正内容をしっかり知っておきたい。
一見すると、どれも会社員・公務員だけに影響しそうだが、実は、自営業や専業主婦(第3号)にも関係する部分があるので、最後までお読みいただきたい。
(1)高収入の人の厚生年金保険料の引き上げ
→保険料分、手取りが減るが、将来の年金額は増える
ネット上では「これ以上保険料を取るのか」といった反対意見が散見されるが、今回の改正は保険料「率」を上げるなどといった話ではない。
厚生年金保険料や健康保険料には上限が設けられており、ある一定の給与収入を超えると保険料は変わらず、それ以上は引かれない。厚生年金保険料の場合、月収65万円にかかる保険料が上限となっている。
この上限が2027年以降、段階的に引き上げられることになる。上限額は27年から68万円、28年から71万円、29年から75万円に変更される。