韓国・李在明新大統領が直面する「経済格差と少子化」の難題、政策転換の経済・外交への波紋Photo:PIXTA

韓国で行われた大統領選挙で革新系の李在明氏が勝利し、即日就任する異例の政権交代が実現した。経済格差や少子高齢化といった構造的課題を抱える中、新政権は補正予算の拡充や財政出動を軸にした景気下支え策を打ち出す。外交面では「実用主義」を掲げ、日韓関係の行方にも注目が集まる。(第一生命経済研究所主席エコノミスト 西濵 徹)

李在明氏が即日就任
3年ぶりの革新政権誕生

 韓国で今月実施された大統領選挙では、革新政党・共に民主党から出馬した前代表の李在明(イ・ジェミョン)氏が勝利した。これにより、同国では3年ぶりの革新政権が誕生した。

 李氏は、事前の世論調査において一貫してトップを走ってきたことに加え、保守陣営が事実上分裂したことも、有利に選挙戦を展開する一因になったと考えられる。

 なお、大統領選の投票率は79.38%と過去20年で最も高い結果となった。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による非常戒厳の発令をきっかけにした政治の混乱が深刻化したことを受けて、国民の間で政治への関心が高まったことが影響したとみられる。

 また、通常は大統領選から就任までは2カ月程度時間が空けられるが、今回は前職が罷免されて空席となる異常事態の下で大統領選が実施されたため、当選後即日、李氏が大統領に就任し、政権交代となった。