
関税見直し6回目協議も決着見えず
国際協力体制離脱の米国に“従属”いつまで
トランプ政権との関税見直し交渉は、6月13日、訪米した赤沢経済再生相とベッセント財務長官、ラトニック商務長官との会談が行われたが、なお合意のめどは立っていない。
16日午後(日本時間17日未明)に、カナダG7サミットの際に行われた日米首脳会談でも、「今なお双方の認識が一致しない点が残っている」(石破茂首相)として、引き続きの協議となった。トランプ関税などの貿易問題に対応すべく中国が米国とジューネーブやロンドンという第三国で交渉しているのに対して、日本が6回も担当大臣をワシントンに派遣して妥協案を提示し交渉を行うという同時進行的に展開している絵柄を見るにつけ、日本の交渉姿勢に国内で批判が起こらないのはとても不可思議だ。
米国の貿易不均衡問題などで協議をする場合、お互いの首都で交互に行うか、あるいは第三国で行うのが外交交渉の常識だ。しかも今回の自動車25%関税など米国の関税引き上げは、米国が一方的に日米貿易協定に違反して発動したものだ。
日本は安全保障を米国に依存している以上、均等な国家関係は望みえず、特にトランプ大統領には忖度(そんたく)する姿勢を示す方が日本の利益にかなうと判断しているからなのか。
日本は安全保障で米国の巨大な軍事力に支えられていることは確かだが、もともと日本が米国と緊密な関係を築いてきたのは、米国が民主主義や自由主義経済、人権といった普遍的価値を共有する国々のリーダーとして、そうした国際秩序を維持する中心の役割を果たしてきたからだ。
だが、トランプ政権の「米国第一」路線による米国の国際協調体制からの離脱が明らかな現実のもとで、日本は従属的対米姿勢を変える必要がある。
日本外交再構築の具体的方向は中国、韓国との「三国協力」の強化だ。