金融インサイド 南 昌宏・りそなホールディングス社長兼グループCEOインタビューPhoto by Yoshihisa Wada

JR西日本との資本業務提携に続き、JCBや第一ライフグループとの協業で個人向け新サービス「りそなプラス」を打ち出すなど、りそなホールディングス(HD)がリテール戦略を加速させている。だが注目すべきなのは、華やかな提携だけではない。預金減少に悩む銀行が相次ぐ中、りそなHDは2029年3月末までに預金を5兆円超積み増す異例の預金計画を示したのだ。なぜ預金拡大に強気なのか。長期連載『金融インサイド』の本稿では、野心的な預金目標を掲げた狙いに加え、地銀連携への意欲、就任7年目を迎えた南昌宏社長が考える後継トップの資質について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

りそな新中計の隠れた注目点
預金急拡大の目標に込めた狙いは?

――4月に始動した新中期経営計画では、3年後のROE(自己資本利益率)目標を12%、政策金利1.5%前提ではROE14%という高い目標を掲げました。

 3年前の中期経営計画の開始時はROEが6.5%で、26年3月期の着地は9.2%でした。今回の新中計で掲げたROE12%の目標は実現できると思いますし、実現しなければいけない数字です。

 政策金利が1.5%まで引き上げられれば、もう一段上を目指す。その意思の表れです。

――その自信の背景には何がありますか。りそなホールディングス(HD)は国内金利の感応度が高いとはいえ、金利上昇だけで目標に届くわけではありません。

 金利感応度の高いバランスシートといわれますが、それはリテール戦略を軸に、1600万人の個人のお客さまと50万社の法人のお客さまの日常金融に深く入り込んできた、これまでの努力の結果です。

 加えて、前回の中計では資本の質的・量的拡充を掲げ、資本の有効活用のステージに入ったと説明してきました。インオーガニック(買収や提携など外部資源を活用した成長)投資も含め、これまでになかった収益機会を取り込める可能性が広がっています。

 金融政策の正常化が進む中では、調達サイドの優位性を生かしつつ、運用サイドで質の高い貸出金の拡充、すなわちRORA(リスクアセット利益率)をどう引き上げるかが重要です。イールドカーブ(年限ごとの金利水準を示す利回り曲線)が立っていく中で、中長期の有価証券ポートフォリオをどう再構築するかも問われます。

 その意味で、ALM(資産・負債の総合管理)の高度化が決定的に求められており、そこに対応できる手応えがあります。

――調達サイドについて、銀行の中計として非常に珍しいと感じたのは、中計最終年度である29年3月末の預金残高計画を69.3兆円とし、その内訳の伸びまで明示している点です。

 よく見ていますね。

――非常に野心的かつ珍しい計画ですが、IR(投資家向け情報提供)資料ではそこまで強調されていないように見えます。

 そこは、ご質問いただいたときに答えることにしています。

りそなが新中計に盛り込んだ預金目標は、銀行業界で珍しい事例だ。預金獲得競争が厳しさを増す中、なぜ強気の預金計画を掲げたのか。次ページで、その背景や達成難度への見方に加え、次代を担うトップに必要な資質を聞いた。