韓国で前代未聞の政治混乱が起きたことで、経済へもマイナスの影響が広がっている。もはや誰が韓国の大統領になっても、政財界の癒着は続き、経済格差が拡大するといった見方すらある。韓国の政財界の癒着はどれほどなのか? 国際調査「腐敗認識指数」ランキングで確認してみよう。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
進むウォン安、韓国経済の先行き不安
2024年12月、韓国の政治情勢に緊張が走った。3日夜、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突然、「非常戒厳」を宣言した。背景には、尹大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏が関わったとされる複数の事件や、選挙に関する不正行為疑惑などがあったようだ。
その後、14日に韓国の国会は、「非常戒厳宣布は憲法違反」との判断から、「弾劾訴追案」を可決し、大統領は職務停止になった。こうした混乱によって、日米韓の関係や韓国の北朝鮮政策にも変化が出ている。地政学リスクの主たる要因である朝鮮半島情勢の緊迫化など、韓国の政治が不安定になると世界経済に無視できないマイナスの影響が出るだろう。
これまでも韓国では、大統領やその親族と財閥系企業トップなどの癒着が発覚するケースが多かった。ある意味それは、有力者同士が癒着する=縁故資本主義という、韓国の政治体制の象徴といえるかもしれない。
非常戒厳の宣布以降、政策運営が停滞する懸念から韓国経済の不透明感が高まっている。もはや誰が韓国の大統領になっても、政財界の癒着は続き、経済格差が拡大するといった見方もある。そうした見方が有力になると、韓国通貨ウォンの売り圧力は高まる。足元のウォン安はそうした懸念を表しているといえるだろう。