日本国債10年の利回りを示す市場モニターPhoto:JIJI

日本の長期金利が一時2.8%まで上昇し、約30年ぶりの高水準を付けた。高市政権の発足後に金利上昇が加速した背景には、インフレ懸念に加え、「責任ある積極財政」が招く財政悪化への強い警戒感がある。長期金利は果たして今後どこまで上がるのか。「2027年春に3%超え」のシナリオを、市場指標から多角的に検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

長期金利は29年半ぶりの高水準へ
高市政権発足後に上昇ペースが加速

 5月18日、長期金利の指標である10年国債利回りが一時2.8%に上昇した。1996年10月以来、29年半ぶりの水準である。

 2023年10月31日、日本銀行は国債の売買を通じて長期金利を一定範囲内に抑え込む政策、YCC(イールド・カーブ・コントロール)を事実上撤廃した。翌24年3月には正式に撤廃が宣言され、長年にわたって人為的に抑制されてきた長期金利は、市場の需給に委ねられる本来の姿を取り戻した。

 その後の推移を振り返ると、23年11月初頭は0.9%台、24年5月には1%超えが常態化し、25年3月に1.5%を突破。25年12月に2%を超え、26年5月には2.5%台に達した。

 特に25年10月の高市政権発足後の約8カ月間で、金利は1%強上昇しており、上昇ペースは明らかに加速している。

 長期金利が上昇する要因は複合的だ。インフレ率の上昇は資金需要を押し上げ、金利を引き上げる。中央銀行による利上げ観測も同様の効果をもたらす。景気拡大局面での資金需要増加もその一因となる。

 さらに10年国債利回りは国債の需給にも左右されるため、国債の大量増発が見込まれる局面では価格が下落し、利回りは上昇する。

 では高市政権発足後の金利上昇は、こうした要因のうちどれが主に作用しているのか。期待インフレ率やタームプレミアムといった複数の市場指標を解き明かし、「27年春に3%超え」というシナリオの現実味を次ページで検証していく。