資格取得でなくても
講座受講の修了証で十分
田澤さんは転職活動を始めた当初、新しい仕事を探してもなかなか見つけられませんでした。
それに、長い期間、勉強をしていなかったので、とにかく自信がありません。暗記力も落ちているし、たとえ頑張っても資格試験に落ちたらショックだし、2回目、3回目と受け続けることができないかもしれません。
そこで思わず、元上司で現在は別の部署の部長に泣きついて、素直に相談しました。
すると、「資格を取得しようと焦らなくても、受講するだけでいい」と言われたのです。
やる気はあっても根気も体力もない、そんな田澤さんのような人には、受講するだけで修了証を受け取れる方法がぴったりです。今、注目の講座であれば、それを履歴書に書くだけで評価されるようなものもあります。それに、資格取得のための試験よりも、講座の修了テストのほうが簡単なのでチャレンジしやすいかもしれません。
田澤さんは、「リカレント講座」を受講し、1年後、うまく転職先を見つけて給与アップまで果たしたのでした。
50代の転職で
「4割の人が給与アップ」する背景
実は、50代で転職した人の4割が、給与アップを経験しています。
エン・ジャパン運営の「ミドルの転職」の「転職者分析レポート2025」では50代の42%が給与がアップしたと回答しています。
厚生労働省の転職者実態調査(2022)でも、正社員などに50代で転職した経験のある人のうち、「収入が上がった人」は3割前後で、2割ほどは「変わらず」となっています。
さらに50代の女性においては、もっと追い風が吹いています。
厚労省の雇用動向調査によると、2023年に転職後に賃金アップした人の割合の増加幅は、全世代の中で50代後半の女性が最大でした。これは、上場企業において、2023年度以降の有価証券報告書に女性管理職比率や男女賃金格差などを開示することが義務化されたことが影響しています。
また、2026年度からは、未上場企業も含めて従業員101人以上の企業に対して、女性管理職比率の公表が義務化されています。
つまり、大企業の子会社や中小企業での役員や部長、また小売販売店の店長などの「肩書」を与え、その分の手当をつけることで、給与がアップするといえます。
加えて、前述した男女間賃金格差も公表しなければならないので、これまで男性中心だった残業を、女性にも担ってもらうようになるなどして、結果的に女性の給与が上がったという企業もあります。
男女ともに給与が上がった人はどのようにして転職したのでしょうか。資格の取得は関係があったのでしょうか。