「この本のおかげで出世できた」「チームのパフォーマンスが上がった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

本当に何もないのか?
1on1や日報のフィードバック、会議での意見収集など、部下に問いかけた際に「特にありません」と返されることはよくあります。
この言葉をそのまま受け取って終わらせてしまうと、思考停止や本音の隠蔽を見逃すことになります。
実際には、「言っても仕方ない」「何か言えば波風が立つ」といった心理的抑制が背景にあることも多いのです。
ワーストな対応:無反応でスルーする
「特にありません」と返されたときに、「了解」とだけ返して次の話題へ移るのは、上司として最も避けるべき対応です。
これでは、部下が「意見を持たない」状態に慣れてしまうばかりか、上司自身も思考停止の温床を作ってしまいます。
頭のいい上司はこう返す
有能な上司は、沈黙の裏にある感情や背景に目を向け、こう問いかけます。
「そうか、じゃあ、あえて挙げるとしたら何かある?」
「今日は出てこなかったかもしれないけれど、あとで浮かんだらSlackでもいいよ」
「特にないと感じるのは、良好な状態の証か、何かを見落としているかのどちらかだね」
このように、相手の心理的安全性を保ちながら、対話の余地を残す返し方がポイントです。
「ない」という答えを鵜呑みにしない姿勢
部下が発言を控える理由はさまざまです。
・発言しても何も変わらなかった過去
・責められるリスクを避けたい心理
・そもそも関心が薄れている状態
だからこそ、上司の役割は「何か言え」と詰め寄ることではなく、言える空気をどうつくるかに注力することです。
それが、意見の総量を左右します。
仮面をかぶって、反応を設計する
「特にありません」と言われたとき、内心モヤモヤするのは自然です。
しかし、そこで感情を出すと、「やっぱり何も言わないほうがいい」という空気が蔓延します。
だからこそ、仮面をかぶって冷静に、意図的に反応を設計することが求められます。
沈黙の扱い方こそ、上司としての真価が問われる瞬間なのです。
(本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計173万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。