
希望した仕事内容でなかった、環境が合わなかった、など理由はさまざまですが、働く人の悩みの9割が人間関係であり、特に上司との関係が多いとされています。些細な一言が相手のやる気を失わせたり、会社を辞める原因になることもあります。大野萌子さんの『〈Z世代との壁〉社員のやる気を失わせる上司の一言』(青春出版社)から、若手社員との心理ギャップを理解して、働きやすい職場にする方法をご紹介します。
近ごろの新入社員は会議室の予約ができない
ある企業の社員の方とオンラインでカウンセリングをしていたときの話です。
入社1年目の男性だったのですが、彼のオンライン画面の背景が、明らかに階段の踊り場だったのです。私は驚いて、「そこ、会議室じゃないですよね。場所変えますか?」と提案したところ、「いいんです、ここで」とおっしゃいます。後ろを気にされながらお話ししていたので、「誰か通るかもしれないから、会議室に移りますか。時間があるので、お待ちしますよ」ともう一度聞きました。私はその会社に会議室がたくさんあることも知っていたからです。
すると「会議室の取り方がわかりません」と言うのです。
おそらく近くにいる社員に聞けば、すぐに教えてくれるはずなのですが、「ああ、人にわからないことを聞くということをしないんだなあ」と、変に感心したものです。
「わかりました、じゃあ私が人事に電話して聞いてみるので、ちょっと待っててください」とお伝えし、私が人事の方にお願いして、会議室を取ったという経緯があります。
会議室の取り方がわからないとこれから困ると思うのですが、それぐらい、人に質問できない、わからないことを尋ねられないということなのだなと思ったものです。
カウンセリングの後、その理由を知りたくて、どうして質問ができないのか、本人に聞いてみました。