そうしたら、「聞くタイミングがつかめない」とおっしゃいます。そして「どうやって聞いたらいいのかわからない」とも。

「会議室の取り方を教えてください」って聞けばいいんじゃないかと思いましたが、とにもかくにも、そういう心理状況だということを目の当たりにした出来事でした。

 これは、その社員がたまたまそういうタイプだった、という話ではありません。今の若手社員にはとてもよくあることなのです。

 会議室の取り方を聞けない人が、はたして仕事でわからないことを先輩社員や上司に聞けるでしょうか。

 仕事の説明をしたあとに「何か質問ある?」と尋ねることが、どれだけ彼らにとってハードルが高いことか、おわかりいただけるでしょうか。上の世代は、そのギャップをよく理解しておく必要があるでしょう。

部下は、あなたにどう思われるかがいちばん気になっている

 質問できないということは、意思表示をするのが怖いことにもつながります。

 それは「どう思われるかがすごく気になる」ということでもあります。

 どういうことかと言うと、1つは「こんなこともわからないの?」と思われてしまうこと。本当にわからないのであれば聞けばいいと思うのですが、とにかく自分でなんとか切り抜けようとします。それがスマホの検索にもつながるわけです。わからないことは恥ずかしいことではない、とは思えない。そこには、子どものころから正解を求められてきたとか、できないことをからかう風潮であるとか、いろいろな理由があるのでしょう。

 そしてもう1つが、自分が上司などと話をしているところを見られること、あるいは話している内容を聞かれるのが怖いということもあるようです。つまり、人目が気になるのです。

 人目が気になり、職場の電話に出られない、電話がかけられないという人が増えています。これは若い人だけではなく、中高年にも一定数います。自分の電話での話しぶりをどう聞かれるのかが怖いのです。