
「管理職なんだから、部下の声にはしっかり耳を傾けなきゃ…」。このような考えを持つ人は「管理職の鑑」といえるかもしれないが、その結果、自分の負担ばかりが増えていないだろうか。公認心理師の船見敏子氏は、放任主義で部下にがんばってもらうことがお互いのメリットになるケースもあるという。※本稿は、船見敏子『結局、いいかげんな人ほどうまくいく 先入観を捨ててより良く生きるための60の習慣』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
大企業の社長が仕事に
優先順位をつけない理由
ある日、「優先順位を一切つけていません」と豪語する人と出会い、面食らいました。
それは、ある大企業の社長。部長になったころから「残業は1秒もしない」ことを信条にしてきた人です。
残業しないことと優先順位をつけないことに関連性があるのか問うと、優先順位を考えず、仕事は来た順にやるから早く終わる。結果、残業せずに済むとのことでした。
そんな社長がいちばん大事にしていたのは、バースデーカードを書くこと。社員の子どもの誕生日には必ずカードを贈っています。だからどんなに大きな案件が来ようが、カードを書く日はそれを先にやるといいます。
来た順ってわかりやすいけど、社長ともあろう人がそれでいいの?
驚きと疑問が入り混じった表情を思わずしてしまった私を見て、社長はさらにわかりやすい説明をしてくれました。
曰く、「だって、優先順位を考える時間がもったいないじゃない」。
予想外の答えに、私は「はぁ…」と言うしかありませんでした。